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おける特別行政相談所あるいは特別総合行政相談所の開催であったといえよう。それに対して行政監察事務所内に設置した特設行政相談所については、電話での相談に関してはかなり有効だったと思われるが、実際に行って相談するには地の利を得なかった。やむを得ないことであるが、兵庫行政監察事務所のある合同庁舎は三ノ宮の海岸通りに位置し、普段でも駅から遠く、決して便利な所ではないが、今回の震災では正に震度7の激震に襲われ、庁舎自身は基本的には無事であり、使用可能であったから、行政相談所を特設した訳であるが、鉄道もバスも途絶し、交通の真空地帯となったことによって、アクセスの利便性についてはかなりきびしい状況であったといわざるを得ない。もちろんこれは、その時その時の被害状況によって変化するものであり、また場所によって事情も大きく異なっているので、決して一般化することはできないが、やはり行政庁舎を設置する際に、アクセスの問題も考えておく必要があるということを痛感させられた。
第三の電話やFAXによる相談体制の整備については、近年極めて重要であると考えられ始めた。実際に相談所まで出掛けることはおっくうな人も沢山いるだろうし、それよりも震災の復旧に追われて相談所まで出掛けるひまのない人も沢山いる。しかしこれらの相談所まで出掛けられない人、あるいは出掛けない人が、それではなにも相談しなくてよいのかというと、それは別問題であるといえよう。このような人々に対応するために必要なのは電話やFAXによる相談である。気軽に電話で相談ができる体制、またファックス・アンサー・システムによって、行政の情報が、容易にFAXで引き出すことができるような体制が望ましいことはいうまでもない。

 

イ.日頃の相談活動における地方公共団体との連携の重要性
今回注目すべき対応は、西宮市と芦屋市における特別相談の開催である。これは日頃の行政相談活動における地方公共団体との連携の賜物であるといえよう。
実際、行政相談というもの、特にその効用を、自治体の首長がどこまで理解しているのか、これが地方公共団体との連携を考える際の重要なポイントである。逆にいえば首長に国の行政相談の効用を理解してもらうことが、他のなにものにも増して重要であるといえよう。
また都道府県や指定都市のような巨大な組織を抱える自治体に比べ、中小規模の市町村の方が緊急時には連携しやすいように思われる。それは、組織が簡素なだけ決断が早いと考えられ、また緊急事態においては首長のリーダーシップが発揮されやすいからだといえよう。
それに対して大規模な自治体との連携のためには日頃からの関係部局との付き合いが大切である。行政相談委員を介して、日常的に相談活動における連携を図り、市民の行政に関する相談を、どの行政機関に関するものか確認し、速やかに関連の機関へと案内誘導することが肝要である。

 

 

 

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